貧血といえば、この飽食の時代でもなお日本人の悩みの種ですね。
月経のある女性・食が細くなった高齢者にとっては、特に大きな問題です。
食事で貧血を予防改善するためには、一般的には鉄分を多く含む食品を十分に摂取するのが常套手段。
鉄分豊富な食品として、レバーや赤身肉、ホウレン草やヒジキ、海苔などが知られています。
健康志向の皆さんは、これらの食品を積極的にとろうと意識していることでしょう。
ところが、そのヒジキについて興味深いデータが発表されました。
昨年末に日本食品標準成分表の改訂版が公表されましたが、それに向けた再分析の結果、乾燥ヒジキに含まれる鉄分が改定前(1982年版)の10分の1近くと大幅に少ないことがわかったというのです(*_*;
その理由は、意外なところにありました。
乾燥ヒジキは、原料の海藻を煮沸して渋みを取り乾燥したものですが、その煮沸には従来、主として鉄鍋が使用されてきました。
その条件下で、含まれる鉄分は100グラム当たり55ミリグラムと記載されてきた経緯があります。
ところが、鉄製鍋よりもステンレス製鍋が主流になってきている昨今、今回の改訂に向けてステンレス釜で煮沸した場合の値を分析したところ、100グラムあたり6・2ミリグラムしか含まれていないことがわかったというのです!
鉄鍋由来の鉄成分だったとは・・・意外な盲点ですね。
貧血の救世主と思っていたヒジキが実は・・・と、ガッカリされた方も多いことでしょう。 ですがそもそも、特定の食品やサプリメントにより鉄分を大量摂取したところで、それを体内で生かし血液成分を造るエネルギーがなければ、貧血は改善しないのです。
また、鉄分が意外に少ないとはいえ、ヒジキはなおカルシウムや食物繊維が豊富、黒い色素にも健康パワーが詰まった優良食品です。
食品成分表の値に振り回されるよりは、バランスの良い食事を心がけること、そして、せっかく食べた食物の栄養を十全に活用することがきるようエネルギーを蓄えること。
結局は、そんなシンプルで当たり前のことが一番安全な近道であることを忘れないでくださいね。
m.s