何かの力で救われた私の命

3年前の12月、毎日上り下りしている家の階段を本当にあと一歩のところで踏み外し、玄関にあった棒状のスリッパ立てに仰向けにぶつかり、左腰を強打しました。今までに経験したことのない「ズシッ」とした痛みが腰のあたりに走り、「あっ骨折した」と瞬間思いましたが、なぜか立ち上がることが出来、誰かに背中を押されるように2階まで上り、すぐに主人に電話をかけて迷うことなくすぐ家の前の病院まで歩いて行きました。

救急外来に行きましたが、「今混んでいるので、丁度今日は午後の診察がある日だから、ここで待っているよりそちらに行った方が早い」と言われ、そちらに行ったところまさに終了(3時ごろ)寸前で全く待たされることなく診察室に通されました。レントゲンなどの検査の結果は、まったく思ってもみないことでした。脾臓に2か所傷がつき、1.5リットルの血液がお腹の中に溢れ、真っ黒に写っていましたのですぐに救命センターに運ばれて処置をすることになりました。

一般的には開腹手術により脾臓を取って血液を洗い流す方法がとられますが、私の行った病院に東京で数名しかいないカテーテルによって足の付け根の動脈を通して傷口を塞ぐ技術を持った名医が偶然おり、すぐに処置ができました。3日間は傷口が開かないように絶対安静でベッドに貼り付け状態で点滴だけで過ごしましたが、身体の表面には傷一つなく回復も1週間で退院という早さで、主治医からは「あの大出血で歩いて病院に来て、しかも意識もしっかりしていた人は珍しい」と言われました。このような経験を振り返ってみると、やはり「気の力」を感じずにはいられない奇跡的な出来事だったと思います。

その後の回復も1年近くかかることが多いと言われましたが、3ヶ月目の検診で脾臓もほぼ元に戻っており、お腹の中の汚れた血液も炎症を起こすことなく各臓器に吸収されていました。病院が近かった事、前もって主人に連絡していて、処置する際に必要なサインがすぐにできた事、その道の名医が偶然いた事等何かの力が働いたとしか思えませんでした。

丁先生がおっしゃった「条件が整うと普通では考えられない事が起こり得る」という事を身をもって体験したように思った出来事でした。

大岡山教室 I さん